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育児のセンス ～学習する心～
幼い時代の習慣、それはその人間の心となり行為となって、ほんとうに根強いものにされていく。子供が自立
してその必要な行為をするようになれば、親はいつまでも子供とともに行動する必要はないのであるから、最初
のうちの誘導のうまさが大切なわけであろう。
すべての能力もまた人の心も、一朝にしてできるものではない。それはちょうど植物のように種を蒔いて芽が
できて、やがて二ツ葉からだんだんに大きく育っていき、それがやがて大きな樹に育っていくと同じように、人
間のあらゆる能力や心も、それぞれ長い時間と毎日のくり返しの中からしだいに育っていくものであることを忘
れてはならないと思う。
勉強しなさい、という言葉だけで勉強させようと考える人びとや、叱って勉強させようとする人びとは、こん
な些細なことの中にも、天の理のあることを、そして花は咲くようにして咲かせることを想起すべきであると思う。
いつもまず心を育てる…心が育つようにして始めて育っていくという大切な問題に気がつくとき、親の育児セ
ンスは光り輝き始めることであろう。
（鈴木鎮一全集 第二巻 人は環境の子 より）
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